前回の記事では、AIボットのアクセスがGA4に映らない理由と、EdgeShaping Liteを入れるだけで「AIが来ている」ことを確認できる、という話をしました。
ただ、確認できた後に必ず出てくるのが、**「で、これをどう見ればいいのか」**という問題です。どのボットが何回来た、という数字が並んでいても、それだけでは意味が取れません。これはGA4のアクセス数を眺めているのと同じ状態です。
この記事では、AIボットのアクセスを読むための「定義」を2つ置き、その上で、EdgeShaping Liteで見える範囲と、有償版に上げると見えるようになる範囲を分けて説明します。
まず、そもそもAIはいつサイトにアクセスするのか、という話です。人がAIに投げる質問の具体度で、3段階に分けて考えます。
① ふわっとした質問
「◯◯ってどう?」のような質問には、AIは学習済みの知識だけで答えられます。この段階では、サイトへのアクセスは発生しません。Googleのように、検索エンジンのクロールで取得済みの内容を回答に使う場合も、回答のたびにサイトへ来るとは限らないため、ここに含まれます。
② 質問が具体的になる
「冬に行くなら」「この用途で選ぶなら」のように条件が付くと、最新の情報が必要になり、AIが回答を作るためにサイトを参照します。これが「回答作成のためのリアルタイム取得」です。
③ 行き先が決まる
「このページを詳しく」と、人がAIにURLを渡して読ませる段階です。これが「ユーザー指定URLの取得」です。
サーバーログに現れるのは②と③です。①は件数として現れませんが、存在しないわけではありません。逆に言えば、ログに現れたアクセスは、検討が進んだ段階のものだ、ということになります。AIボットのアクセスを見るときの、最初の前提です。
次に、ログに現れたアクセスを、目的で4つに分けます。
| 分類 | 内容 | EdgeShapingでの表記 |
|---|---|---|
| 回答作成用リアルタイム | AIが検索・回答生成のためにサイトを参照する | 検索・RAG |
| ユーザー指定URL | 人がAIにページを指定し、AIが取得する | ユーザートリガー |
| AI学習用 | AIが学習のためにページを収集する | 学習 |
| (参考)汎用クロール | 従来型の検索エンジン等のクロール | 汎用クロール |
上の3つが、AI時代に新しく生じたアクセスです。汎用クロールは従来のSEOの領域なので、比較のための参考として並べます。
この4つを分けて見ると、初めて意味が取れます。ある公開サイトの一定期間のサーバーログを、送信元の照合でなりすましを除外した上で集計した実例を、比率で示します。
4つに分けると、それぞれ見るべきものが違います。
回答作成用リアルタイム ―― 「面」で見る
取得されるページは、トップ、一覧、テーマ別など、サイト全体を広く把握するための入口ページが並びます。上位ページの件数が横並びになるのも特徴で、特定ページへの集中ではなく、面的に取得していることを示します。ここで見るのは「AIがこのサイトをどういう構造として把握しているか」です。
ユーザー指定URL ―― 「点」で見る
個別の詳細ページに集中します。人が「このページ」と名指ししているので、そのページの内容そのものに需要があります。定義その1で言えば③、検討の終盤です。ここで見るのは「人がAIに読ませたいと思ったページはどれか」で、これは人間側の需要を最も直接に表す指標になります。
AI学習用 ―― 「量」として見る
件数は多くなりがちですが、これは需要ではありません。学習用クローラーは広く浅く収集するため、ページ単位の意味付けには使えません。また、この分類はユーザーエージェントのなりすましが最も混ざりやすいところでもあります。送信元の照合をせずにこの数字を見ると、実態と違うものを見ることになります。
汎用クロール ―― 従来SEOの領域
Googlebotやbingbotなど、検索エンジンのインデックス用クロールです。AIボットの話をするときは参考値として横に置き、主対象にはしません。
無料のEdgeShaping Liteで見えるのは、次の範囲です。
ここまでで、「AIは来ている」「なりすましではない」「このページが取られている」までは言えます。前回の記事の範囲は、Liteで足ります。
Liteの限界は、まさにこの記事の本題にあります。Liteは分類の情報を持っていません。
つまり、上で説明した「面で見る」「点で見る」「量として見る」の読み分けが、Liteではできません。回答作成用リアルタイムのアクセスと、ユーザー指定URLのアクセスが、同じ一つの数字に混ざります。先ほどの実例で言えば、約7%と約半分が区別できない状態です。
「面的に取得されている入口ページ」と「人が名指しで読ませた詳細ページ」は、意味がまったく違います。Liteでは、この両方が「AIが来たページ」としてしか見えません。
このほかに、Liteでは個々のアクセスの詳細(用途等)の確認と、外部からデータを取り出すAPIが使えません。保持できる生ログの行数にも上限があります。
有償版のEdgeShapingでは、分類の情報が入ります。
「AIが来ている」から「AIがどの目的でどのページを見ているか」に進むのが、Liteと有償版の境界です。
5分類目の「広告」は、OpenAIやMetaの広告用クローラーを他の4分類から分けたものです。AIがコンテンツをどう読むかとは軸が違うため、独立させています。
Plusは、有償版にライセンスキーを入れると解放される上位版です。追加されるのは生ログのAPIで、個々のアクセスを送信元IP付きで取り出せます。
画面上ではなりすまし判定で落とされたアクセスも、APIでは判定結果ごと返します。自社のデータ基盤に取り込んで、自分の基準で判断したい場合はここです。
WordPressプラグイン版には、構造上の限界が2つあります。
1つは、辞書に載っているボットしか記録しない、という点です。辞書にないボットは、Liteでも有償版でも観測結果に現れません。もう1つは、CDNやリバースプロキシの配下では、プラグインが受け取るIPがプロキシのものになり、なりすまし判定が成立しないという点です。
CDN版のEdgeShaping PROは、CDNのエッジで全リクエストを実IPとともに記録します。辞書にないボットの発見も、CDN配下での正確な判定も、この層で行います。プラグイン版の辞書は、この層で見つけたものを載せています。
冒頭で比率を示した実例のような分析は、この層のログで行ったものです。
GA4が見ているのは、人が直接サイトに来てからの行動です。AIボットのアクセスを見るというのは、その手前、AIがサイトを取りに来た段階の行動を見ることです。
この2つは別の層なので、GA4の延長で数字を眺めても意味は取れません。人のAIへの質問がどこまで進んだ段階のアクセスなのか、AIがどの目的で取りに来たのか、という定義を先に置いて、その上で数字を読む。この記事の2つの定義は、そのためのものです。
まずはLiteで「AIは来ている」を確認し、目的で分けて読む段階になったら有償版へ。各エディションの違いと価格は、購入ページをご確認ください。